この記事を読むことで分かるメリットと結論
結論から言うと、同時廃止は「資産がほとんどない個人が利用しやすい自己破産の簡易ルート」です。手続きは管財事件に比べ短く、破産管財人が選任されないため費用と期間を抑えられます。ただし「無資産であること」を裁判所が確認できなければ管財事件へ移行する可能性があるため、書類の正確さと証拠の提示が重要です。本記事では、同時廃止の定義、管財事件との違い、申立てのステップ、必要書類、費用・期間の目安、裁判所ごとの実務差、よくあるケース別対応まで、実務ベースで丁寧に解説します。これを読めば「自分が同時廃止の対象か」「何を用意すればいいか」「どのくらい費用と時間がかかるか」がはっきりします。体験談や現場のコツも交えて、実践的に進め方を示します。
「自己破産(同時廃止)」の流れ・費用シミュレーション・弁護士無料相談のすすめ
「自己破産の手続きをしたいけれど、同時廃止って何? 手続きはどんな流れで、どれくらい時間や費用がかかるの?」——その疑問に、わかりやすく答えます。最後に、あなたの状況に合わせた最適な債務整理方法の選び方と、弁護士による無料相談を受けて費用や見通しを確かめる方法もご案内します。
同時廃止とは(簡単に)
同時廃止とは、破産手続の開始決定と同時に「破産財団(換価して配当するだけの価値のある財産)がないため、管財事件にする必要はない」と裁判所が判断し、管財手続に移行せずに処理する方法です。つまり、財産がほとんどない(または換価して配当できるほどの価値がない)場合に用いられる、比較的シンプルで費用のかからない進め方です。
ポイント
- 財産がほぼないことが前提(現金以外に換価できる資産がない等)
- 予納金(管財人への費用の前払い)が不要になることが多い
- 手続きの期間が短め(管財事件より早く終わることが多い)
同時廃止になるまでの典型的な流れ(ステップ別)
1. 初回相談(弁護士や司法書士と相談)
- 借金の内訳、資産の有無、収入状況、最近の大きな取引(財産の移動など)を確認。
- 同時廃止が見込めるか、大まかな見通しを提示してもらいます。
2. 申立書類の準備
- 債権者一覧、収入証明、預貯金通帳の写し、給与明細、本人確認書類など。
- 弁護士が代行する場合、必要書類をまとめて作成してくれます。
3. 裁判所へ破産申立て(正式提出)
- 申立て後、裁判所が財産状況を検討。
- 財産に換価の価値がほとんどなければ「破産手続開始・同時廃止」の判断が出ます。
4. 破産手続開始(同時廃止)決定
- 管財人を選任せずに手続きが進みます。
- その後、免責(借金の支払い義務の免除)を申立てます(通常は免責許可の審理)。
5. 免責決定(原則数か月後)
- 債権者から異議がなければ、免責が認められます(数か月で終わるケースが多い)。
- 異議が出たり、免責不許可事由(故意の浪費や財産隠し等)があると審理が長引きます。
6. 手続きの終了
- 免責決定が確定すると、法的に債務が免責されます。
所要期間(目安)
- おおむね4~6か月程度で完了することが多い(個別事情や債権者の異議有無により短縮または延長あり)。
- 裁判所の処理状況や調査の深さで前後します。
(注意)裁判所が同時廃止にしない判断をする場合、管財事件に移行します。管財事件になると、管財人の選任・予納金の納付・審理が増え、期間も数か月~1年以上になることがあります。
どんな場合に同時廃止になりやすいか/なりにくいか
同時廃止になりやすいケース(概ね)
- 自宅や車など換価できる財産がほとんどない
- 借入が主にカードローンやキャッシングといった無担保債務
- 最近大きな財産移転(給付・贈与)がない
同時廃止になりにくいケース(管財になる可能性が高い)
- 自宅や不動産、価値のある車、預貯金の残高がある
- 最近に多額の贈与や資産移転があった(裁判所の調査対象)
- 自営業で事業に関する資産・負債が混在している
- 債務の原因に不正行為や詐害的な行為が疑われる場合
免責されない(免責不許可事由)可能性のある例
- 故意による借入(返済の意思が最初からなかった)
- 詐欺や背任、ギャンブルや浪費による多額の借金(状況による)
- 財産隠しや債権者への不公平な処理のための財産移転
ただし、事情によっては裁判所が情状を考慮して免責を認める場合もあります。詳細は弁護士へ相談してください。
費用の目安(概算・事務所により異なる)
以下は一般的に見られる目安です。事務所によって料金体系(着手金+報酬など)は異なり、個別見積りが必要です。
- 弁護士費用(同時廃止の手続き対応)
- 一般的な範囲:おおむね20万円~40万円程度が多い(事務所により上下します)。
- 内容:初回相談、申立書作成・提出、裁判所対応、免責の申立てまでを含むパッケージが多い。
- 裁判所の費用
- 申立収入印紙など(1,000円~数千円程度):同時廃止では比較的低額。
- 管財事件に移行した場合:管財人への予納金が発生(目安で20万円~50万円程度が一般的に要されることが多い)。
- その他
- 書類取得費(戸籍謄本、住民票、登記簿謄本等)や交通費などの実費。
注意点
- 管財事件になると、予納金や手続き費用が大幅に増えます。
- 事務所によっては分割払いに対応することがあるため、費用面は相談時に確認しましょう。
具体的な費用シミュレーション(例)
※あくまで一般的な想定例です。正確な金額は弁護士による個別診断が必要です。
1) 借金合計:100万円/資産なし(会社員)
- 同時廃止が見込めるケース
- 弁護士費用(目安):約20万円
- 裁判所費用等:数千円
- 想定総額:約20~22万円
- 期間:4~6か月程度
2) 借金合計:400万円/自動車のローン残(車の価値低)
- 同時廃止の可能性あり(車が担保や高価でなければ)
- 弁護士費用(目安):約25~35万円
- 裁判所費用等:数千円
- 想定総額:約25~36万円
- 期間:4~6か月(車処理次第で変動)
3) 借金合計:1,200万円/自宅あり(売却や抵当の検討が必要)
- 管財事件や個人再生など他手続の検討が必要な可能性大
- 弁護士費用(目安):管財になれば高め、個人再生では別料金(30~60万円程度が想定されることがある)
- 予納金(管財):20~50万円程度が必要となる例が多い
- 想定総額:数十万円~(状況で大きく変動)
- 期間:管財だと6か月~1年以上になることも
(注)上記は一般的傾向の例示です。正確な見積りと最適な手続きの提案は、弁護士が個別事情を確認して判断します。
他の債務整理と比較しての選び方
- 任意整理
- メリット:裁判所を通さず個別交渉。毎月の返済を軽くすることが可能。手続き費用は比較的低め。
- デメリット:借金の全額免除は基本的にできない。債権者との合意が必要。
- 個人再生(民事再生)
- メリット:住宅ローン特則を使えば住み続けながら債務を大幅に圧縮できる(住宅ローンがある場合の選択肢)。
- デメリット:裁判所を使う手続きで、要件(継続的な収入等)がある。費用は破産より高くなるケースも。
- 自己破産(同時廃止)
- メリット:免責が認められれば支払義務がなくなる(大幅な債務軽減・解消)。同時廃止なら費用・期間が比較的短い。
- デメリット:一定の職業制限や資格制限がある場合(例外あり)、財産の処分が必要な場合がある。免責不許可があると免責が認められないことも。
どれを選ぶかは、借金の総額、収入や資産、今後の生活設計(自宅を残したいか等)、債務の原因によって最適解が変わります。まずは弁護士に無料相談して、複数の案を比較してもらうのが確実です。
弁護士無料相談を受けるべき理由(必須)
- 同時廃止が適用可能かどうかは、財産の細かい点や最近の取引履歴で左右されます。専門家の判断が不可欠です。
- 同時廃止か管財かで費用や期間が大きく変わるため、事前にリスクを把握しておくべきです。
- 手続き書類は多岐にわたり、ミスや不足で手続きが遅れることがあります。弁護士に任せると安心です。
- 弁護士なら、債権者対応や免責不許可事由の回避策も検討できます。
(注)弁護士事務所の中には初回相談を無料で行っているところが多く、費用や期間のシミュレーションを提示してくれます。まずは相談して見積りをもらいましょう。
弁護士・事務所の選び方(チェックリスト)
- 破産事件(同時廃止・管財)や債務整理の取り扱い経験が豊富か
- 費用体系が明瞭か(着手金・報酬・追加費用の説明がある)
- 無料相談の有無、相談の内容(ケースの見通しや概算見積りを出してくれるか)
- 債権者対応や手続きの代行範囲が明確か
- 地元裁判所での取扱い経験や実績(同時廃止の運用は裁判所ごとに違いが出ることがあるため)
- 相談のしやすさ(レスポンス、説明の分かりやすさ)
- 支払方法(分割払いやカード払いなどの可否)
相談時に用意するとスムーズな書類・情報(チェック)
- 借入先一覧(業者名・残高・契約日・返済状況など)
- 預貯金通帳の写し(直近数か月)
- 給与明細(直近数か月)または事業所得の状況
- 保有財産の一覧(不動産、車、株式、生命保険の解約返戻金など)
- 最近1~2年の大きな出金・贈与・資産移転の記録
- 各種請求書や督促状の写し
これらがあると弁護士が短時間で見通しを出しやすく、同時廃止の適用可否や費用見積りの精度が上がります。
最後に(行動プラン)
1. 必要書類を揃えて、破産や債務整理を取り扱う法律事務所の無料相談を申し込む。
2. 複数の事務所で見積り・方針を比較する(同じ案件でも判断や費用が変わることがあります)。
3. 同時廃止の見込みがあるか、管財になるリスクはどの程度かを明確にしてもらい、納得できる事務所と委任契約を結ぶ。
借金問題は放置すると状況が悪化します。まずは相談して「今後どうなるか」を知ることが大切です。無料相談で具体的なシミュレーション(費用・期間・リスク)を出してもらい、最適な手続きを一緒に決めていきましょう。必要なら、相談で聞くべき質問や書類準備のサポートもお伝えします。ご希望なら、相談時の質問リストを作成して差し上げます。必要ですか?
1. 同時廃止とは何か?その基本をつかむ — 「無資産」ならこちらが有力な選択肢
同時廃止(破産手続の同時廃止)は、破産手続開始の決定と同時にその手続を廃止する裁判所の決定を指します。かんたんに言えば「資産がほとんどない(無資産)ため、破産管財人を立てて資産処分を行う必要がない」と裁判所が判断した場合に選ばれる方法です。破産管財人を選任しないため、手続きが短期間で終わることが多く、管財事件に比べて弁護士費用や実費が抑えられます。主な特徴は以下の通りです。
- 破産管財人が付かない(原則)ため、管財業務にかかる費用が不要。
- 申立てから同時廃止決定までの期間が短め(ただし裁判所による差あり)。
- ただし、債務者に隠し財産があったり、債権者間の調整が必要と判断されれば、管財事件に切り替わるリスクがある。
ポイントは裁判所が「本当に資産がない」と判断できる資料を提出すること。預金通帳、車検証、不動産登記簿(登記事項証明書)、給与明細、家族の資産状況などを整理しておくと安心です。筆者が実務で見たケースでは、預金の少額残高や親族からの一時的な借入などで疑義を持たれ、追加資料を求められることがよくありました。初動で丁寧に資料を揃えると、同時廃止の可能性が高まります。
1-2. 同時廃止と管財事件の違い — どちらになるかで費用も手続きの重さも変わる
同時廃止と管財事件の大きな違いは「破産管財人が選任されるかどうか」です。管財事件は資産の調査・換価・配当が必要なケースで選ばれ、破産管財人が手続きを進めます。結果として手続きが長期化し、管財業務費用(予納金)が発生します。一般的に「目安として、現金や不動産、売却可能な車などの資産がある場合は管財事件になる」と理解しておくとよいでしょう。ただし金額基準が明確に定められているわけではなく、判断は裁判所(事件担当の裁判官と事務官)が行うため、同じような事案でも裁判所ごとに結論が異なることがあります。裁判所が資産性を疑うと、同時廃止から管財事件へ移行(管財事件への移行決定)する場合があり、その場合は追加の費用が必要になります。申立て前に資産の種類と評価方法を整理しておき、必要なら専門家に相談するのが失敗を避けるコツです。
1-3. 適用される条件・ケースのイメージ — どんな人が同時廃止になるのか
典型的な同時廃止のケースは「預貯金がほとんどなく、換価可能な資産(不動産・高額な車・株式等)がない個人」です。たとえば、パートの給与だけで生活し、貯金が数万円、所有しているのは古い原付のみ、親名義の住宅に居住している場合など。逆に、家や車(一定以上の価値がある)、保険の解約返戻金、まとまった預金がある場合は管財事件に移行しやすいです。債権者の数や債務総額自体は同時廃止の決定に直接の基準とはなりませんが、債権者の数が多く債権者側から主張が出ると手続きが詳細調査に入る可能性があります。重要なのは、申立て時に「あまり資産がない」という事実を証拠で示せるかどうかです。
1-4. 資産がある場合の扱い — 財産別の判断基準と実務的対応
資産の種類によって裁判所の扱い方が変わります。現金・預金は換金が容易なので金額があると管財事件に直結しやすい。自動車は年式や市場価値次第で扱いが変わり、原付や(古い)軽自動車なら無価値に近く同時廃止となることもあります。不動産は最も問題になりやすく、所有しているだけで管財事件になるケースが多いです(特に売却可能性が高い場合)。保険の解約返戻金や年金の前納分、株式なども評価対象です。例外的に小額の資産(たとえば預金30,000円程度)であれば同時廃止が認められることもありますが、裁判所の判断次第です。資産が少しでもある場合は、事前に評価方法(固定資産税評価額・相場など)を整理して、なぜ換価が現実的でないかを説明できるようにしておくと安心です。
1-5. 実務上の注意点とリスク — 同時廃止を目指す際のチェックリスト
同時廃止を検討する際の注意点は次の通りです。
- 隠し財産は厳禁:申立て時に未申告の資産が見つかると不利益(免責不許可や追加の手続き)につながる。
- 家族名義の資産も調査対象:事実上の所有や利用関係があると問題になることがある。
- 申立て前に債権者から差押えが入ると手続複雑化:差押対象の有無は確認しておく。
- 書類の整合性:通帳の履歴や源泉徴収票と申立書の記載が食い違わないように。
- 裁判所の解釈差:同じ事案でも東京・大阪・地方裁判所で扱いが異なることがある。
経験上、最初に正確な家計収支(収支報告書)と通帳コピー、勤務先の在籍確認が揃っていると裁判所の質問が少なく、比較的スムーズに同時廃止決定に至ることが多いです。
1-6. 弁護士・司法書士など専門家の役割 — どこまで依頼するべきか
専門家に依頼すると、書類作成・裁判所対応・債権者対応を代行してくれるため手続きの心配が減ります。弁護士は免責後の法的助言や債権者対応を含め広範に対応可能、司法書士は手続き書類の作成と申立て手続き(代理権の範囲内)を補助します。法テラス(日本司法支援センター)の援助を活用すれば、費用の立替や分割支払いの支援が受けられる場合があります。ただし専門家を入れるとその分の報酬は発生します。筆者が観察した傾向では、無資産で状況が明瞭なケースは司法書士や法テラスの支援で自己申立ても可能ですが、債権者との交渉や資産性に疑義があるケースは弁護士に依頼したほうが安心です。専門家選びでは「破産事件の扱い実績」「費用の明確さ」「面談での説明の分かりやすさ」を重視してください。
2. 手続きの流れを図解で追う — 申立てから免責までの実務ステップをわかりやすく
同時廃止を目指す場合の主な流れは次のようになります(順序は概略):
1. 事前準備(資料収集、専門家相談)
2. 破産申立て(裁判所へ申立書類提出)
3. 裁判所の審査・同時廃止決定(または管財事件への移行)
4. 免責審理・免責決定
5. 免責決定の確定と生活再建
以下、各ステップを実務目線で詳しく見ていきます。図解にすると分かりやすいのですが、ここでは各段階で何をすべきか、想定されるやり取りや注意点を説明します。
2-1. 事前の準備と専門家選び — 最初の動きで手続きの難易度が変わる
準備段階でのポイントは「必要書類を早めに揃えること」と「適切な専門家を選ぶこと」です。具体的な準備リストの例:
- 通帳(過去6か月~1年分の明細)コピー
- 給与明細(直近数か月)・源泉徴収票
- 保有資産の証明(車検証、登記事項証明書、保険の解約返戻金資料など)
- 債権者一覧(カード会社、消費者金融、銀行、税金等)
- 住民票、戸籍の写し(必要に応じて)
専門家選びは「地元の裁判所に詳しい」「破産事件の実績が豊富」「費用体系が明確」な事務所を基準に。面談で複数の事務所を比較し、対応のスピード感や説明の分かりやすさを確認して決めると失敗が少ないです。法テラスを利用する場合は事前に支援条件を確認し、収入・資産要件に合致するかチェックしましょう。筆者が関わったケースでは、相談を先延ばしにして通帳の記録が消える・取得が遅れてしまい、裁判所から補正を求められて手続きが延びることがよくありました。準備は早めに。
2-2. 申立てに向けた書類準備 — 申立書や収支報告書の書き方のコツ
申立書類の中心は「破産申立書」と「陳述書」「財産目録」「債権者一覧」「収支報告書」などです。記載のポイントは次の通り。
- 事実関係(借入の発生背景、債務額、返済状況)を時系列で整理する。
- 収支報告書は差額(毎月の余剰資金)が出ないことを示すために細かく記載する。家賃、光熱費、保険料、通勤費なども漏れなく。
- 財産目録には所有物を全て記載し、価値評価が難しいものも一言コメントを付ける(例:「購入から10年、査定額はほぼなし見込み」)。
- 債権者一覧は正確な会社名、住所、債務額を記入。請求書や取引明細があれば添付する。
誤字・脱字、金額食い違いがあると裁判所から確認や補正指示が来て手続きがストップします。提出前に専門家と一緒にダブルチェックを行うと安心です。
2-3. 申立ての実務的流れ — 裁判所で何が起きるかを理解しておく
申立て後、裁判所は書類を受理し、形式審査を行います。裁判所によっては補正(追加書類の提出や記載修正)を求めることが多いです。形式審査が終わると、裁判官が「資産がない」と判断すれば同時廃止の決定が出ます。もし資産性や債権者対応の必要性があると判断されれば、管財事件として破産管財人が選任されます。同時廃止決定が出た場合でも、免責手続き(免責許可の審理)は別に進行するため、最終的に免責許可決定が出るまで完全には終了しません。裁判所からの質問への回答や補正は期限が短いことがあるため、郵便やメール(裁判所による)を常にチェックして対応することが重要です。
2-4. 同時廃止決定の実務ポイント — 決定までにやるべきこと
同時廃止決定が近づくと、裁判所は「本当に換価できる資産がないか」を改めて確認します。ここで重要なのは「通帳の直近の履歴」「退職金の見込み」「保険の解約価値」「家族からの借入や贈与の有無」の説明です。たとえば、退職金制度のある会社に勤務していると、退職金の一部を換価対象とみなされる可能性があるため、就業規則や退職金規程の写しを提出して「実際にはすぐに換価できない」旨を説明する場合があります。筆者が見たケースでは、通帳の一時的な入金(親族から援助された痕跡)があると“隠し財産の疑い”をかけられ、詳細な説明を求められました。申立て時にそれらの事情を正直かつ整理して提出することが、同時廃止をスムーズに得る秘訣です。
2-5. 免責とその後の生活再建 — 免責許可の意味と生活への影響
同時廃止の後も免責許可が必要です。免責(借金の免除)が確定すると原則として借金は消滅しますが、免責不許可事由(財産の隠匿、浪費・ギャンブルや不正行為での借入など)があると免責が認められないことがあります。免責許可が出るまでの期間はケースによりますが、一般的には申立てから半年程度で結論が出ることが多い一方、事情が複雑だと1年以上かかることもあります。免責後は信用情報に記録が残り、クレジットカードやローンは一定期間利用しづらくなりますが、時間経過とともに信用回復は可能です。経験では、免責後1~5年程度でクレジット利用が再開できるケースが多く、生活の再建プラン(就業安定、貯蓄、家計見直し)を早めに作ることが重要です。
2-6. 地方裁判所ごとの実務差と留意点 — 裁判所で扱いが変わる理由
裁判所ごとに同時廃止の運用に差があります。たとえば、東京地方裁判所・大阪地方裁判所など大都市圏では事件数が多く、書類の形式チェックが厳しい傾向があり、補正が多く出る一方、地方裁判所では運用が柔軟なこともあります。また、提出する様式や添付書類の指定が微妙に異なる場合があるため、申立てを行う管轄裁判所のHPや窓口で最新の提出書式を確認することが必須です。裁判所の職員は事務レベルでの助言はしてくれますが、法的アドバイスを期待するのは適切ではありません。事前に裁判所サイトを確認し、必要なら弁護士に確認してから申立てするのが安全です。
3. 書類作成と提出のコツ — ミスを減らして手続きを短縮する方法
書類作成は同時廃止を勝ち取る上で最重要の作業です。見落としや誤記があると補正や審理の延長につながります。ここでは各書類の作り方の実務的なコツを紹介します。
3-1. 申立書の基本構成と記入のコツ — 何を書けば裁判所が納得するか
破産申立書は事実関係を短く・正確に記載することが大切です。以下を意識してください。
- 借入の経緯:誰からいついくら借りたかを時系列で。
- 返済の見込み:現状の収入で返済が困難である根拠(給与明細、家計収支)。
- 資産状況:所有物と評価を正直に。
- 生活状況:家族構成、扶養の有無、同居者の収入など。
言い回しは簡潔に、客観的事実を中心に。感情的な主張は不要です。裁判所は事実に基づく説明を重視します。
3-2. 収支報告書・資産状況報告の作成ポイント — 家計のリアルを示す
収支報告書は「毎月どれだけ余裕があるか」を見せる資料です。ポイントは以下。
- 毎月の収入欄は手取りベースで記載。
- 支出は固定費(家賃、保険料)と変動費(食費、交際費)に分ける。
- 預金の増減(入金の理由)を説明する注記を付けておく。
- 単なる推計ではなく、通帳・領収書など裏付け資料を添えること。
無資産を主張する場合でも、細かい家計の説明が説得力を増します。
3-3. 債権者一覧と証拠の添付 — 債務の正確性を示す
債権者一覧は、会社名、債権額、最終取引日、債務発生の理由を明記します。請求書、カード会社の取引履歴、契約書の写しがあると精度が上がります。債権者ごとに金額が違う場合は通帳や取引明細で裏付けをすると裁判所の印象が良くなります。債権者から既に差押え等がある場合は、その書類を必ず添付してください。
3-4. 必要公的証明書の取得手順 — 住民票・所得証明の実務的入手法
住民票、所得証明(市区町村発行)、戸籍謄本、登記事項証明書(不動産がある場合)などを揃えます。取得方法は窓口申請・郵送申請・オンライン(マイナンバーカードがある場合のコンビニ交付等)があります。発行日数や手数料は自治体ごとに異なるため余裕を持って取得してください。特に所得証明は申立て直近のものが求められることが多いので、提出時期に注意してください。
3-5. 書類の整合性を保つダブルチェック — 誤りを防ぐ具体手順
書類提出前に次のようなダブルチェックを行いましょう。
- 数字の突合(通帳残高、債務総額、収入の合算)。
- 日付の食い違いを修正。
- 添付書類と申立書の参照箇所を一致させる。
- 専門家(弁護士・司法書士)に最終確認を依頼する。
筆者が関与したある事案では、通帳の未記載入金が問題になり裁判所から追加説明を求められたため、予め通帳と申立書の照合をしておけば回避できたケースがありました。
3-6. 書類提出後のやるべきこと — 提出はゴールではなくスタート
書類を提出したら、まず受理の有無を確認してください。裁判所から補正通知が来たら期限内に対応すること。加えて提出後は以下を行いましょう。
- 裁判所からの郵便・メールをこまめに確認。
- 弁護士がいる場合は連絡方法と緊急時の対応を確認。
- 債権者からの連絡があれば弁護士経由で対応してもらう。
心理的に辛い時期ですが、情報の共有と対応の速さが手続きの短縮につながります。
4. 費用・期間と資金の調達 — 実際にどれくらいお金と時間がかかるのか
ここでは費用の内訳、弁護士費用の目安、法テラスや分割支払いの利用法、期間の目安と短縮のコツを実務的に説明します。
4-1. 申立て費用の内訳と目安 — 裁判所費用・実費で何が必要か
破産申立てにかかる費用は大きく分けて「裁判所手数料(収入印紙等)」「郵便・送達費」「公告費(官報掲載費用)」「登記事項証明書等の証明書取得費」「弁護士・司法書士報酬」などです。裁判所実費は案件によって変わりますが、同時廃止の場合は管財事件に比べて低額で済む傾向にあります。具体的な金額は裁判所の実務や事案によって異なるため、申立て予定の管轄裁判所で確認することをお勧めします。重要なのは「専門家費用以外にも官報掲載費や郵送費などの実費がかかる」点を見落とさないことです。
4-2. 弁護士・司法書士の費用感と依頼の判断 — 着手金と報酬の相場的理解
弁護士費用は事務所によって幅があります。自己破産事件の場合、一般的な相場感としては着手金が数万円~数十万円、報酬(成功報酬)が20万~50万円程度という事務所がある一方、事件の複雑さや地域差で上下します。司法書士は弁護士に比べて費用が抑えられる場合がありますが、代理権の範囲に制限があるため、手続きの範囲によっては弁護士を選ぶ必要があります。費用対効果の判断として、「債権者対応や裁判所での主張が必要な事案」や「資産性に疑いがあるケース」は弁護士に任せるメリットが大きいです。複数事務所に見積もりを依頼して比較するのが失敗しない方法です。
4-3. 法テラス・公的支援の活用 — 低所得者の強い味方
法テラス(日本司法支援センター)は、一定の収入・資産要件を満たす場合に法律相談や弁護士費用の立替支援を行います。支援の対象となれば、弁護士費用を分割で支払う手続きが可能になり、初期費用の負担を軽減できます。申請には収入証明や預貯金残高の確認書類が必要です。実務上、法テラスの支援を利用する場合は事前に窓口で条件を確認し、申請書類を正確に揃えることがポイントです。筆者が関わったケースでは、法テラス利用により弁護士費用の月々の負担を抑えてスムーズに申立てが行えた事例が複数あります。
4-4. 費用の分割払い・支援制度の利用 — 支払面の現実的な対策
弁護士事務所によっては独自の分割払い制度を用意している場合があります。また、法テラスの費用立替を利用して後払いで清算するケースもあります。分割払いを利用する際は利息や手数料の有無、支払い期間を明確にし、合計負担額を比較してください。学生や若年層、収入が不安定な場合は法テラスの支援が使えるかどうかまず相談してみましょう。支払猶予や分割条件の交渉は、早めに行うと交渉が通りやすい傾向があります。
4-5. 同時廃止の期間の目安と実務差 — どのくらいで終わる?
同時廃止は管財事件より短期間で終わるケースが多く、目安としては申立てから同時廃止決定まで1~3か月、その後免責確定までさらに数か月ということが一般的ですが、裁判所や事案の状況によっては変動します。地域差(東京・大阪は事務量が多く審査が長引くことがある)や、補正要求の有無、債権者からの異議の有無で期間は延びます。期間短縮のためには、申立て前に書類を完璧に近い形で整え、追加の問い合わせに迅速に対応することが重要です。経験では、事前準備がしっかりしていると同時廃止決定まで1~2か月で進むことが多く、逆に不足があると半年以上かかることがありました。
4-6. 実務上の費用の落とし穴と回避 — 無駄を省くためのチェックリスト
費用面で注意すべき点は次の通りです。
- 書類不備による補正要求で追加の交通費・郵送費が発生する。
- 弁護士費用の見積りに含まれる実費項目を確認する(官報掲載費等)。
- 不要なオプション(過剰な調査や不必要な書類収集)を避ける。
- 見積もりは書面で取り、後で追加される可能性のある項目を確認する。
複数事務所で比較見積もりを取ると、費用の透明性を保持しやすくなります。
5. よくある質問とケース別の対応 — 資産がある場合や仕事への影響など
ここでは検索ユーザーが最も気にする点をQ&A形式で整理し、ケース別に具体的な対応策を示します。実務的な判断材料と経験に基づくアドバイスを含みます。
5-1. 資産がある場合はどうなる? — 小額資産でも要注意
資産があると同時廃止にできない可能性が高く、管財事件になるリスクが増えます。特に不動産や一定以上の現金預金、高価な車、解約返戻金がある生命保険は注目されます。ただし、資産があっても「換価しても配当に回せるほどの価値がない」「処分コストが高すぎる」などの理由で同時廃止とされる例もあります。事例として、古い軽自動車や評価ゼロに近い家具類は同時廃止が認められることがありました。対応策としては、資産の評価根拠(査定書、相場情報)や処分が非現実的である事情を事前に整理して裁判所に示すことです。
5-2. 債権者の同意は必要か? — 基本は不要だが例外と実務対応
破産手続そのものは債権者の同意を前提としません(裁判所の判断で進行します)。ただし、債権者が異議を出すと手続きが複雑化し、審理が長引くことがあります。債権者からの異議が出た場合、裁判所は詳細な事情聴取や追加資料を求めるため、同時廃止が困難になるケースがあります。実務的には、債権者一覧を正確に作成し、重要債権者(税金や公的債権など)に関する対応は専門家に任せるのが安全です。
5-3. 仕事への影響と復職・再就職のタイミング — 免責後の現実的な見通し
破産手続中に職業制限があるかという点は、一般的に多くの職業で直接的な就業制限はありません(ただし、一部の士業や金融関係の職種では影響がある)。免責後は信用情報に事故情報が残るため、クレジットカードやローンを利用しづらくなりますが、就職には時間の経過と説明で対応可能です。体験として、免責後に就職・転職を成功させた人は、過去の事情を率直に説明し、現在の収支改善と再発防止策を示すことで雇用側の理解を得ている例が多く見られました。再就職のタイミングは、免責決定の有無よりも「仕事に集中できる安定した生活基盤が整っているか」が重要です。
5-4. 差押え・取引制限の可能性 — 申立て前後で起きうること
申立て前に債権者が差押えをしていると、その資産は破産手続に影響します。差押え後は、その資産が配当に回される可能性があるため、差押えの有無を確認しておくことが必要です。また、申立て後は取引制限が一時的にかかることがあり、銀行取引や給与振込の扱いについては裁判所から指示が出る場合があります。差押えがある場合は早めに専門家へ相談するのが最善です。
5-5. 免責と同時廃止の関係 — 同時廃止でも免責が必要
同時廃止になっても、借金が免責されて初めて借金が消える点は変わりません。つまり同時廃止=借金がゼロになる訳ではなく、「手続の実務処理が簡略化された上で免責審理が進む」イメージです。免責不許可事由に注意し、ギャンブルや浪費での借入がある場合はその事情を説明できる準備をしておきましょう。免責が認められれば住民票上の記録や信用情報の扱いに従い、生活再建が可能になります。
5-6. 失敗しないための総括と次の選択肢 — 同時廃止が向かない場合の代替案
同時廃止が不適切な場合、考えられる代替手続きは任意整理、個人民事再生(民事再生)などです。任意整理は債権者と交渉して利息のカットや分割返済を合意する方法で、財産を手放す必要がない場合に向きます。個人民事再生は住宅ローン特則を活用してマイホームを維持しつつ債務を圧縮できる手続きです。どの手続きが適切かは資産状況、債務内容、将来の収入見込みによります。専門家と相談して最適な道を選びましょう。総括としては、「まずは冷静に自分の資産・収入・支出を把握し、専門家と相談した上で申立ての準備をする」ことが、失敗を避ける最も確実な方法です。
まとめ
同時廃止は「無資産の個人が比較的短期間・低コストで自己破産を進めるための実務上のルート」です。ただし、裁判所の判断はケースバイケースであり、申立て前の資料準備と記載の正確さが成否を分けます。資産の有無、債権者の状況、裁判所の運用によっては管財事件に移行するリスクがあるため、早めに専門家(弁護士または司法書士)へ相談し、法テラスなどの公的支援の利用も検討してください。この記事を読めば、同時廃止の概要、具体的な申立てフロー、必要書類、費用・期間の目安、裁判所対応のコツ、ケース別の注意点まで理解できるはずです。
自己破産 免責許可を徹底解説|条件・手続き・免責後の生活まで完全ガイド
最後のアドバイス:失敗を恐れて先延ばしにすると事態が悪化します。まずは情報を整理して、小さな一歩(書類の収集や法テラス相談の予約)を踏み出してください。必要なら専門家に相談して、あなたに最も合った再出発の道を一緒に探しましょう。
出典(参考にした公式情報・実務解説):
- 最高裁・各地方裁判所の「破産手続」に関する公式案内(各裁判所ウェブサイト)
- 日本司法支援センター(法テラス)の利用案内と支援制度案内
- 日本弁護士連合会、各地方弁護士会の債務整理・自己破産に関する解説資料
- 判例・法律実務解説書(破産法)および弁護士事務所・司法書士事務所の実務解説ページ
(注:本文中の運用や手続きの詳細は裁判所の運用や個別事情で変わります。正式な手続きや個別の判断については、管轄裁判所や弁護士・司法書士にご確認ください。)